家で焚き火(大平宿総集編)

家で焚き火(大平宿総集編) その0

DPZのこの「廃村に泊まる」の記事をみて、こりゃ行くしかないと思った。

なんと長野県飯田にある廃村の、囲炉裏つき古民家に泊まれるのだ。

大体、古い建物が好きだ。どれくらい好きかというと建築史を専攻していたぐらいだ。それも、当時の先生が聞いたらひっくり返りそうだが、しっかりメンテされて保存されてるのより、栄枯盛衰を感じさせるようなぼろいのがいい。廃村なんてのは、村ごと廃れてしまったわけで、住んでた方にとっては残念な話だが、見る側からすると生活感ごと凍結されていたりして、この上なく興味をそそる物件なのだ。

そして、焚き火も好きだ。やっぱり学生のころは部室の前でよく燃やしていた。今では生の火を扱う場所も機会も限られてしまっていて寂しいが、ことがあればやっぱり火は燃やしていきたい。

だから、大平宿の記事を読んで、廃村の家の中で焚き火(囲炉裏)ができると知って、こりゃ行くしかない、と思ったのだ。

そうして行ってみたら、想像以上にいい場所で、今日までに3回も行くことになった。

家で焚き火(大平宿総集編) その1

【大平宿一回目】 2007年秋

行くにあたって、美術部探検班OBのmlで誘ってみたところ、なんと10人も集まった。古民家と囲炉裏の集客力恐るべしだ。

DPZに記事が載ったのが2007年の8月のことだったが、それから下調べやスケジュール調整などして、紅葉の時期であろう10月13、14日の週末に行くことに決まった。

関東、関西、あちこちから集まるので、集合は飯田駅に13時とした。そこからレンタカーに分乗して大平街道を20km行くのである。

【東京から飯田への行き方】

東京から飯田に行く場合、
 (1) 高速バス
 (2) 東海道新幹線で豊橋→飯田線
 (3) ちょっとひねって甲府からレンタカー(どうせ飯田で借りるなら)
などが考えられるが、どれでも4時間ぐらいだ。

ちなみに新宿<->飯田の高速バスは、日本の高速バスの草分けらしい。本数も新宿発が毎時あって驚いた。逆に飯田線はバスができて随分と客が減ったらしい。線路が天竜川の深い渓谷沿いにうねっているので特急でもあんまりスピードが出ないようだが、観光で行く分には美しい景色を楽しめてちょうどよい。

さて、飯田駅前に無事集合したので、昼食を食べて、手分けして準備だ。

まずは大平宿を管理しているNPOがあるアルススポーツで、鍵と薪をゲット。買出し組みは、スーパーで鍋の材料と酒を調達する。

大平宿は、飯田から大平街道をまっすぐ行き、飯田峠を少し過ぎた辺りにある。そのまま西に進むと南木曽方面に通じており、昔は栄えた街道筋だったようだ。もちろん今の大平街道は、昔の街道そのものではないが、急な登りのぐねぐね道でチャリダーにはよく知られた場所らしく、道中、本気チャリの人を見かけたりした。

折りたたみチャリでここを登った、DPZのライター木村さんの苦労がしのばれる。

大きな地図で見る

大平街道。大平宿は、左端、川で低くなってるあたりにある。

大平宿についたのは15時ごろだった。木曽側から(折りたたみじゃない)チャリでアプローチして来たF田さんは、既に到着して待っていた。泊まるのは当然一番古い建物で、江戸末期に建てられた「藤屋」である。木村さんが泊まった「八丁屋」の向かいに建っている。ちょっと覗いて見たところ、つくりはどの建物も大差ないようだ。

Dsc_0007_2藤屋は一番奥。リヤカーで荷物を運ぶ。

Dsc_0013_2「江戸末期」というのがいいっすね。ちょんまげの人がここに泊まっただろうか。

Dsc_0014藤屋。立派なものですね。 軒の張り出しは「せがい造り」というらしい。

中に入ると、建物は古くても、水周りは補修してあって、たまには使われてもいるのできれいなものだった。あこがれの囲炉裏もでかくて立派だ。掃除をして一息ついたらDPZにも載っていた諏訪神社まで散策してみる。

A苔むした石段と新しめの狛犬

Dsc_0039読めないけど密度が高くて怖い漢字

Dsc_0042諏訪神社というらしい。

ぼろい!ぼろいよ!神様大丈夫なんだろうか。
我々は悲しいほど理系なので、すげえ、CPU丸出しだよ!とか言ってはしゃぐ。神社のCPUって何だ。

Dsc_0066ボイラーの風呂も焚くぜ。

明るいうちから火を焚きだしてしまったり、廃小学校を見に行ったりしているうちに、暗くなり、宴会タイムとなった。

鍋はきのこ鍋だった。買出し部隊は、スーパーで売ってる全種類のきのこを全部買ってきたそうで、すごい量になっている。一つ1000円するきのこ(おしょうにん)まであるよ。
しかも、この「おしょうにん」はすごく苦くてがっかり系だった。実は鍋に入れるんじゃなくて、焼いてつまみ的に食するものだったらしい。1000円もしたのに!
でも、全体的には超満足。きのこ過ぎ!

Kinoko1全きのこ!

Kinoko2驚愕の4桁!しかも恐ろしく苦い!

そして米!竃がついていて、釜でご飯を炊くのだが、これがうまいこと。炊き上がりといい、おこげの具合といい、最強です。電気炊飯器じゃこうはいかない。水がうまいのもあるのだろう。

Kome米!うまい!大量の米があっという間になくなった。

何故か持ってきた三線(沖縄の三味線)を引いたり、自作の果実酒を飲んだりしているうちに夜は更けていった。夜は結構冷えるので、防寒着や厚めの寝袋は必須だ。そういえば、バイクで来たE君は到着が遅くなり、暗くなってから宴会に参加していたが、いつ来たのか気がつかなかった。よくたどり着いたな。

Irori火はいいなぁ。 しかも家の中だから背中側も寒くない。

Sanshin宴には三線?! 

Jizaikagi自在カギのすっくりと立つ様もいい。

Enkai1鍋に群がる。

Enkai2やがてまったり。

そして宴のあと。

Nebukuro部屋と部屋にまたがって寝る人とか。

翌朝。

Dsc_0096当然の帰結。「頭いてぇ。」

当然のように二日酔いだったりする人もいますが、沢の水で眼を覚ます。

Dsc_0093外はあくまでもさわやか。

きれいに掃除をして、戸締りをして出発する。帰りはすぐ飯田に戻らず、大平街道を反対側の南木曽方面に下りると温泉があるので、そちらに向かう。

Dsc_0105下りで先行されたらもう追いつけないF田さん。

温泉でひとまず解散となり、飯田に戻る人は戻って川本喜八郎美術館に行ったり鰻食べたり鍵を返したりして、帰京した。

Dsc_0110二輪部隊とはお別れ。

Dsc_0111飯田で食べたやけに旨そうなうな丼

家で焚き火(大平宿総集編) その2

【大平宿二回目】 2008年春

一回目は非常に楽しかった。しかし、東京から4時間かかってしまうので、一泊だと本当に宴会して終わりになってしまう。せっかくあれだけ楽しい場所なのに勿体無い。

というわけで、2008年のゴールデンウィークの5/3,4,5で、二泊三日で再訪してきた。今度も9人集まり、リピート率が高い。囲炉裏の中毒性が疑われる。

さて、また昼に飯田に集合したあと、買出し組みと釣り堀組みに分かれることになった。

囲炉裏といえば、川魚を棒にさして焼かないわけにはいかないだろう、ということである。大平にも川が流れていて、一応漁業料を払えば釣りをしてよいみたいだが、素人が川で釣れるわけもない。幸い、近くにいくつか釣り堀があり、そのうちの車屋に行って調達することにした。

車屋は飯田から車で40分ぐらい南下したところにあった。若干分りにくかったが、季節柄、きれいな花が咲いていて気分が良い場所だ。

Dsc_0409別天地的。

Dsc_0416フライング気味に、釣り堀組みでとりあえず食べる。こういうのを囲炉裏でやりたいのだ。

無事、人数分調達して、飯田の温泉「天空の城」によってから大平宿へ向った。

Dsc_0430ロボット兵とかは出てこなかった。 南アルプスがよく見えて、普通にいい温泉でした。

大平宿についた頃には、もうちょっと暗くなりかけていたが、今回は△大蔵屋に泊まることになっていた。屋号の「△」の部分は下の写真参照。今回のは明治中期の建設である。ざんぎり頭の人が泊まっただろうか。

Dsc_0505 大蔵屋は、このほかに「大蔵屋」「おおくらや」があり、違う建物なので注意。

早速宴会。鍋の準備も既に整っている。早速イワナを焼きましょう。

Dsc_0462じゃーん。

Dsc_0467竹串にさすよ。

Dsc_0471結局こうなった。

竹串に刺して、炉辺に並べるのが夢だったが、串がすぐへたってきたり、火からの距離の調節ができなかったりと難しく、あきらめて網で焼いた。絵的には残念だが、味は変わらないので良しとしましょう。

そして、また宴会の夜は更けていった。

Dsc_0479まったり。

翌朝。

Dsc_0481芋虫。

Dsc_0498たたまれたシュラフ。あんまりこういうのみたことない。

Dsc_0500あれっ?またダメな人いますね?

二日目は、ちょっと遠出をして中央アルプスでも、とか言っていたのだが、当然のように起きるのが遅くなったので、近場の兀岳に行くことにした。

兀岳というのは、↓の地図ではちょっと分りにくいが、大平宿から大平街道を西に行って、大平峠を越えたところから入る小さな山だ。


大きな地図で見る

兀岳は、理系である我々は当然のように「パイダケ」と読んでいたが、なんか違う気もするので、それを確かめに行かねばならない。「およそ3たけ」かも知れないのだ。

Dsc_0521大平街道の筒トンネル。カッコいい。大平峠のところだ。

Dsc_0522登山口 

とか思っていたら、登山口にいきなり答えが書いてあった。「はげだけ」だそうな。なんだ。

Dsc_0529笹がすごい。

Dsc_0547結構しっかりした登り。

Dsc_0557山頂。「禿岳」って書いてありますね。殿の脇息に。

この日はいい天気で、汗だくになりながら山頂まで小一時間かかった。山頂からは乗鞍、御嶽、南アルプスなどが見えた。

夜は、買出し部隊が飯田で肉を調達してきて、焼肉で宴会だった。何故だかこの晩の記憶があまりない。なぜだか。

あと、今回は、前回の反省を生かして、薪100%じゃなくて飯田のスーパーで炭も買ってきた。炭だとあまり煙が出ないので調子が良い。一酸化炭素も日本の伝統家屋の換気のよさ(隙間風)の前には問題にならない。

さて、いつの間にか最終日。この日もいい天気だ。

Dsc_0485時代劇の撮影にも使われたそうだ。

Dsc_0519庚申塚

午前中は、有名な妻籠宿に行ってみた。大平宿から車で40分ぐらいでいける。

きれいにしているなぁ、と思ったが、個人的には野趣溢れる大平宿の方が好みだ。

Dsc_0572電人M?

Dsc_0609妻籠宿

戻ってからは、例によって掃除して飯田に戻って解散。二日あるとかなりゆっくり遊べる。

あと、薪だけじゃなくて炭を使っても、風呂に入っても、体が燻製くさい。帰りの電車で隣だった人、ごめんなさい。

家で焚き火(大平宿総集編) その3

【大平宿三回目】 2008年冬

3回目は12月のはじめだった。

雪の大平宿を見てみたいと考えてた折に、関西のF田さんから「また燻製人間やんないすか」との連絡があったのが決め手で、K下さんがいけるか調べてくれた。

・大平街道は、例年12/15ぐらいから閉鎖。
・その前に大雪でも閉鎖。
・例年12/10ぐらいまでなら車で入れる。
・非常に寒い。

ということだったので、12/6,7で2008年ラストチャンスの大平宿に行くことにした。

寒いところが好きなのか、なぜかこれまで最多の12人の参加である。

Dsc_0001飯田のアルススポーツ前。雪が舞ってる。

雪が積もるのが先か、道が閉鎖されるのが先かの勝負で、雪の大平宿が見られるかは当日まで分らなかったが、今回はちょうど前日の12/5に寒冷前線が通過した。むしろ飯田で降っているぐらいだと、大平宿にたどり着けるのだろうか。スノーシューできるぐらいだと、とてもじゃないが、車では入れない。

Dsc_0009大平街道。怖い。

大平街道をゆっくり登ったのでついた頃には暗くなっていたが、無事に大平宿に到着することができた。

さすがに他に誰も人はおらず、深閑とした世界が待っていた。

Dsc_0014

Dsc_0021公衆電話ってこんなに明るかったっけ。

Dsc_0032そういえば、ここは廃村だった。

今回泊まるのは下紙屋だ。下紙屋は新しいので気密性がよく、寒くないからだ。寒くないは言いすぎだが、江戸時代のとかよりはましだろう。

なぜ下紙屋が新しいかというと、割と最近、火事で数軒全焼してしまうということがあって、その後建替えられたからだ。火の始末には細心の注意を払わなければならない。

Dsc_0104由来

Dsc_0038下紙屋

Dsc_0043中もきれいだ。

さて、寒いので早速火を焚く。火っていいなぁ。っていうか、家の中なのに背中側が寒い。

Dsc_0045暖かい。

Dsc_0049囲炉裏の火。

今回はてきとう鍋だが、だんだん囲炉裏料理も上手くなってきたような気がする。

それから、三重のJさんが、なんと牡蠣を大量に持ってきてくれた。

山で囲炉裏で牡蠣ですと!京極さんも泣いて喜びます。

Dsc_0062おや、右下に見えるのはー

Dsc_0059牡蠣と手羽!

Dsc_0066そして釜で炊くのはむかごご飯。

さて、夜。非常に寒くなった。探検班の人は、ふざけた名前だが、厳冬期冬山とかあまつさえマッターホルンとか登る人がいるぐらいなので、寒さにはめっぽう強い。

しかし、今回初めて大平宿に来たそうでない人たちは、なかなか寒さがつらそうだった。楽しんでたようだけど。

Dsc_0069寝袋講習。後ろの人、怪しすぎ(笑)

Dsc_0072ピラミッドの玄室?!ミイラがたくさん(笑)

宴会の後、10月に来た時は適当に寝てた人たちが、冬はきちんと並んで寝てるのは、沖縄で道で寝てる人が多いが、北海道でそういう人がいないのと同じ原理だと思う。

さて、翌朝。昨晩は暗くてよく見えなかったが、初の雪の大平宿だ。

Dsc_0073うわ、寒そう。

Dsc_0083実際、寒い。

Dsc_0082でもきれい。

寒いので、鍋の残りの朝ごはんが嬉しい。寒いところって、いるだけで体力が必要だ。

Dsc_0128チンダル現象。

Dsc_0130きれいですな。 家の中だけど。

Dsc_0137パチッ

Dsc_0146ふー、あったまる。

朝食の後は、外を散策した。

Dsc_0184まずはあの怖い諏訪神社。

Dsc_0190寒いのに全開!でも荘厳にも見える。

Dsc_0213大平宿の入り口付近。 

Dsc_0216廃小学校

Dsc_0231作った雪だるま。右のはなんだか分らないが邪悪なものを感じる。何でこうなったんだろう。

翌週からは大平街道が閉ざされてしまうと思うと、よく見ておこうと思う。

しかし、タイミングよく、車で入れる程度に雪が降ってくれてよかった。 

Dsc_0236ネコがいた。冬を越せただろうか。 

取り合えず雪を見られて、冬の囲炉裏の威力も分って満足だ。しばらくしたらまた燻製人間になりたくなると思うので、そうしたらまた行こうと思う。

古い建物は、使わないとどんどん痛んでしまう。これを見た人で興味がある人は、是非泊まりで行ってみてほしい。ライターの木村さんは火が起こせなくて、非常に残念だったと思う。

あと、家で焚き火はとても楽しいが、火の始末には注意しましょう。

春は4月中旬から大平街道開通だそうです。

大平宿を管理してるのはこちら。↓

「NPO法人 大平宿を残す会」