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境界線を行く(ヒマラヤ編)

境界線を行く(ヒマラヤ編) その1

旅行が好きであちこち行っているが、やっぱり興味が尽きないのはヒマラヤ周辺である。

この辺りは、インドと中国という大国の間に世界の屋根がドカンと立ちはだかっている形だが、よく見ると小さな国が挟まってたり、国境線がちゃんとしてなかったりしていて、地図を見ているだけで飽きない。

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多分あまり人が行かないであろうこの辺の地域を、自分が旅行した時の記憶を元に独断で、旅行のしやすさ、トレッキング、地の果て感、チベット仏教度、食事の旨さの5項目で比較してみた。

【概観】
ちょっと分りにくいので、下の地図も見てもらいたい。

Map_2

これから比較するのは、ヒマラヤ山脈の北側のチベット、南側の東から順にブータン、シッキム、ネパールである。
それから、ラダックはヒマラヤ山脈の西端とカラコルム山脈に挟まれた場所に位置している。

境界線を行く(ヒマラヤ編) その2

【旅行のしやすさ部門】

旅行のしやすさは、現地への行きやすさと、行ってからの移動のしやすさで比べてみよう。これらの地域は、外国人の自由な移動を許可していなかったり、入るのに入域許可証が必要だったりする場所も少なくないのだ。

なお、このページだけ写真がない。次からどしどし出てくるので、旅行に興味がない人は飛ばしてほしい。

■チベット 

チベットは中国の自治区だが、いろいろ政治的な問題もあり、入るのにビザの他にパーミッションが必要だったり、行けるところが限られていたりと制約が大きいので★二つ。

ラサに入るにもルートが限られており、成都から飛行機かゴルムドからバスが一般的だった。今では鉄道も通じた。

■ネパール 

ネパールはネパール連邦民主共和国という国であり、首都はカトマンズである。
カトマンズには、ロイヤルネパール航空(通称ロイネパ)の直行便のほか、バンコクやデリーなどを経由したフライトの選択肢も多い。時間が許せばインドから陸路のアクセスも可能だ。

トレッキングにはパーミッションが必要だが、問題なく入手できる。

若干政情不安なところもあるので、満点から★一つ減点した。

■ブータン 

ブータンはブータン王国という国であり、首都はティンプーだが、一般には唯一の空港のあるパロに入ることになる。

ブータン旅行は制約がかなり大きい。まず、個人旅行ができない。必ずブータンの旅行会社(または日本の代理店)を通じて手配する必要がある。そして滞在費が決まっており、一日あたりなんと$200!(シーズン、人数によって多少違う)。これには宿泊費、食事、交通費、トレッキングをする場合はその代金などもすべて含まれており、逆に言うとこれ以上お金はかからない。ガイドも常時密着なので、自由な行動はできない。

ブータンの空港はパロにある一つだけで、航空会社もドゥク航空だけである。

■シッキム 

シッキムはインドの州で、ブータンとネパールの間に位置している。昔は独立国だった。
インド自体はバス、鉄道、飛行機が使えて旅行しやすいが、シッキムはパーミッションが必要なので、★三つ。写真を持っていけば現地で取得できる。

なお、シッキムに入る手前には紅茶で有名なダージリンがあり、ここはインド有数の避暑地になっており、日本の軽井沢みたいな感じだ。

■ラダック 

ラダックもシッキム同様インドの一地方で、ジャンムー・カシミール州の東側である。同州の西側はカシミールなので治安が悪いが、東側のシッキムは誰も興味ない場所なのか、平穏なものである。

パーミッションも不要だが、デリーからの飛行機が霧でよく飛ばないのと、現地の移動手段が限られる(というか、道が限られる)ので、★三つ。

境界線を行く(ヒマラヤ編) その3

【トレッキング部門】

このエリアの大きな楽しみは、もちろんヒマラヤを望むトレッキングである。日本と違って、登山とトレッキングは明確に区別されており、トレッキングは誰でも楽しむことができ、ネパールなどでは主要な産業にすらなっている。

■チベット 

ガイドブックによると、一応できるらしい。しかし、ヒマラヤの南側諸国に比べてると一般的な旅行者が楽しむのに十分なインフラ(宿とか道とか)が整っていないので、低い評価となった。

■ネパール 

文句なしに★五つ。僕が海外トレッキングに行くようになったのも、ネパールのトレッキングの素晴らしさによるところが大きい。僕が行ったのはアンナプルナの下の方5日間だけだったが、そんなイージールートから、一ヶ月以上かかるような本格的なルートまでさまざまバリエーションがある。

アンナプルナの下の方は、ルート中、二時間か半日おきぐらいに泊まれるところか食事できるところがあり、高度順応さえできれば日本でテントかついで縦走するより楽ちんで、ヒマラヤが丸見えの絶景が楽しめる。

Fh020022 幸せの朝ごはん風景(トレッキング中)

■ブータン 

ブータンは微妙。ジョモラリという山が見える標高4,000mぐらいのベースキャンプまで行ったのだが、天気が悪かったのだ。トレッキングコースのバリエーションはネパールに比べると格段に少ない。そもそも旅行者が少ないのだから当たり前だが、トレッキングのインフラも十分じゃない。

しかし、ブータンの人のホスピタリティは素晴らしく、我々二人に対し、馬5頭、ガイドやコックさん、馬使いなど5人がついてくれて、テント設営、料理など何くれとなく面倒を見てくれたので、道中は非常に楽しかった。なので、★三つとします。

なお、インド洋の湿気がヒマラヤにぶつかる場所なので、雨が多い場所だそうな。

Pict0290 ここで標高4,000mぐらい

■シッキム 

シッキムは実はトレッキングには行ってないのです。現地で会った人にトレッキングできると聞いたのですが、天気が荒れ模様で断念をしたのだった。ネパールとインドの国境あたりを歩くそうです。

行ってないので、中途半端に★三つとしておきます。

■ラダック 

ラダックのトレッキングは必殺でした。途中で、火星を歩いてるのかと何度も思った。そんな中、インダス川支流の村の緑やお寺のギャップがすごい。ヒマラヤの高山はあまりみえないので★四つ。

Dsc_0405ボンボン・ラ (峠)からの風景

境界線を行く(ヒマラヤ編) その4

【地の果て感部門】

ヒマラヤは、北極、南極に次ぐ第三の極地といわれることもある。そんな極地感を最も感じられるのはどこだろうか。

■チベット 

ラサの町は中国化が進んでいるけど、ちょっと郊外に行くとすぐ火星の景色になる。打ち壊されたお寺がさびしい。★四つ。

Fh020034 ラサ郊外のガンデン寺。ラサから巡礼バスで2時間ぐらい。

■ネパール 

観光客が多いのと、山の中も樹木が多いので、地の果て感は比較的少ない。でもヒマラヤを見ると来るところまで来たな、と思う。★三つ。

Fh010017 プーンヒル。さすがにトレッキングのメッカだけあって人は多い。

■ブータン 

緑が多いので、人は少なくても地の果て感は少ない。しかし、日本の中世に来たような、時間を遡ったような村のたたずまいに、ここはどこだ感は大きい。★三つ。

Pict0017 日本昔話?(パロの町)

■シッキム 

有名な避暑地なので、地の果て感はなし。こんなとこでも、こんなに人いるんだー、って思った

Dsc_0336 観光地だ。地の果て感はなし。

■ラダック 

デリーからの飛行機が頭に雪をかぶった山脈を越えて飛んでいく、その時からすでに極地感マックス。降りたレーの町は火星のコロニーか。当然★五つ。場所柄、道路が整備されていて軍のトラックが行き交っており、それがむしろ火星っぽさをあおる。

Dsc_0023 えっ、こんなところで下降していいの!?

Dsc_0203 ずっとこんな感じ。

境界線を行く(ヒマラヤ編) その5

【チベット仏教部門】

ヒマラヤ周辺のエリアを文化的に一つのものにしているのがチベット仏教だ。専門知識はなくとも、我々が知っている仏教とはどことなく違うことは分る。そんな微妙なカルチャーショックもこの地域の大きな魅力だ。

■チベット 

聖都ラサがあるが、残念ながら寺院は打ち壊され、収蔵物ももっていかれてしまい、僧侶も逃げ出しているので、★三つとなった。

Fh020030 ガンデン寺。だいぶ修復されたとのこと。

しかし、ポタラ宮とジョカンはすごい。パワースポットってこういうことか、と思った。

Fh010021 ジョカンの熱気

■ネパール 

どちらかというとヒンズー文化が強いように思う。カトマンズにボダナートというどでかい仏塔があり、みんなで時計回りに廻るのが、流れるプールのようで楽しかった。

Fh030035 この周りを時計回りにぐるぐる廻る。コルラといいます。

■ブータン 

チベット仏教を国教とする唯一の国であり、文句なしに★五つだが、ガチすぎて旅行者はお寺の中は見られなかったりするのが惜しい。

Pict0022 パロ・ゾン(お寺と行政機関のコンプレックス)

Pict0023 同じくパロ・ゾン

■シッキム 

かつてはブータンと同様、チベット仏教を奉ずる独立国だったというが、今はインド化がすすんでおり、かなり薄まっている。★二つ。

Dsc_0208 ちゃんと勉強しててえらい。

■ラダック 

取り残されたチベット仏教圏。西に接するカシミール地方はイスラム圏であり、東側のチベットは中国に破壊されてしまったが、ラダックはあまりに不便だったからか、放置されてる。お寺の収蔵物もみごとだし、信仰も残っている。写真もアルチを除いて自由に撮らせてくれる。★五つ。

Dsc_0177リキル・ゴンパ

Dsc_0180 同じくリキルの千眼千手十二面観音。

Dsc_0803 ティクセ・ゴンパ。要塞みたい。

Dsc_0849 同じくティクセのチャンパ大仏。二層ぶち抜いておはします。

境界線を行く(ヒマラヤ編) その6

【飯部門】

旅行において食事は最も重要な要素の一つだ。中国、インドはそれぞれ食事が旨いが、この地域はどうであろうか。

■チベット 

申し訳ないがまずい。お湯が沸騰しても100度まで上がらないし、特殊な麦かヤクぐらいしか取れない場所なので仕方なし。お茶なども雲南省から運んでいるらしい。

Fh030005 これで沸かすんだしな・・・

■ネパール 

割と旨いが、トレッキング後だからかもしれない。ダルバート(豆のカレー)などがメイン。カトマンズのタメル地区では旅行者も多いので、日本料理も食べられた。

Fh000002 カトマンズのタメル地区(食事の写真撮ってなかった)

■ブータン 

滞在期間中ほとんどがトレッキングで、コックさんが作ってくれていたので、ブータン一般の食事がよく分らないが、下界では松茸も食べられた。辛いものを食べる地域だそうで、生の唐辛子をピーマンのように野菜的に食べていた。食べてみようとしたら、止めとけ、だって。ものめずらしさに★三つ。

Pict0021下界での食事。

Pict0125 トレッキング中でもこんなの作ってくれた。

■シッキム 

一般的なインド食で、まあまあ旨い。香料にお腹が疲れたら、チベット系の料理(モモとかトゥクパとか)もあるのが嬉しい。また、ダージリンが近いので、紅茶も盛んでうまい。★四つ。

Dsc_0167 泊まったホテルのレストランが旨かった。たまたまあたりだったか。

Dsc_0134 ダージリンの紅茶園。

■ラダック 

シッキムから紅茶を引いたような感じ。もちろんダージリンのような紅茶のメッカじゃない、という意味で、ミルクティーなどはインドだけにどこでもある。★三つ。

Dsc_0782 モモ(チベットの水餃子)

Dsc_0875 なんとかカレー

境界線を行く(ヒマラヤ編) その7

【総括】

それでは、総合順位の発表です。

■第5位 チベット 11点

旅行のしやすさ 
トレッキング 
地の果て感 
チベット仏教度 
飯 

飯のまずさが響いたか、意外なチベット仏教度の低さのせいか。最下位はなんと本家チベット。富士山と同じで、一回は行きたいが、一回行けば十分な場所だと思う。
(少なくともラサは)

Fh000006 ポタラ宮

■第4位 シッキム 13点

旅行のしやすさ 
トレッキング 
地の果て感 
チベット仏教度 
飯 

可もなく、不可もなくは避暑地の故か。第四位はシッキム。しかし、シッキム近隣のダージリンには、他の地域にはない世界遺産のダージリン鉄道や茶園があり、趣味があえば行ってみる価値は十分にある。

Dsc_0075 ダージリン鉄道

■第3位 ブータン 15点

旅行のしやすさ 
トレッキング 
地の果て感 
チベット仏教度 
飯 

独自文化を守る閉鎖性は諸刃の剣。ブータンは惜しくも一点差で第三位となった。お金と時間が許せば一度は行ってみてほしい。世界中でここにしかない時間の流れや価値観を体験できる。

Pict0052 パロ・ゾン

12_2
そういえば、トレッキングから降りてきたらこんなのに遭遇してびっくりしたんだった。

■第2位 ネパール 16点

旅行のしやすさ 
トレッキング 
地の果て感 
チベット仏教度 
飯 

最高のトレッキング環境と、ヒッピー時代からの旅行のしやすさなどで安定したスコアを出し、第二位につけたのはネパール。是非再訪してトレッキングしたいところだ。

Fh010029 サウス・アンナプルナ?だったっけ?

■第1位 ラダック 20点

旅行のしやすさ 
トレッキング 
地の果て感 
チベット仏教度 
飯 

二位以下を大きく引き離して栄えある第一位の座に輝いたのは、なんとダークホース、ラダック。この地上にこんな場所があるんだなぁ、と思わせる実力は知名度の低さが育んだか。高いところ(富士山ぐらい)が平気な人は、だまされたと思って行ってみてほしい。

Dsc_0470 尼寺。バター茶とか振舞ってくれた。

Dsc_0562 秋の行楽日和でした。

今年のゴールデンウィークはヒマラヤ山系で決まりですね!